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層と円 Layer and Circles
会期:2026. 3. 6(金)〜4. 17(金) (日・月休廊)
会場:Peridot Artcenter + Osaka space(大阪)
私は、消えゆくものとそれが残す痕跡、そしてその背後に潜む時間の構造について思考を重ねてきた。変化の加速する都市において、場所や物、記憶は生成と消滅を反復し、私たちはそれらを十分に掬い取ることのないまま次の場面へと移行していく。制作は、その流れのなかに取り残される微細な気配を、現在へと呼び戻すための試みである。時間は不可視でありながら、物質を介して層となり、痕跡としてとどまる。
これまで扱ってきた紙という媒体は、積層と蓄積を内包する存在であった。繊維が絡み合い、一枚の面となり、さらに重ねられていく過程は、時間が沈殿する運動を想起させる。見えないものが静かに堆積し、やがて厚みとして現れる。そこには、垂直に降り積もる時間の像がある。
本展では、この時間認識を拡張し、異なる質をもつ素材を導入する。反射し、回転し、変化し、あるいはとどまること。それぞれの物質は、異なる速度と方向をもった時間を孕んでいる。瞬間ごとに異なる相を示しながらも、円環的な運動のうちにとどまるもの。環境との接触のなかでゆるやかに変容し続けるもの。変化と反復、差異と循環が、ひとつの空間に重ね合わされる。これまでの制作が出来事の記録と記憶に向けられていたとすれば、本展は時間そのものの構造へと視点を移す。垂直に堆積する時間と、同時的に広がる水平の時間。それらが交差する場において、時間は単線ではなく、多層的な運動として立ち現れる。
本展は、その交差の只中に立つための試みである。
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